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夏休み中にしっておきたい!
お金の仕組みを学べる児童書4選




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子育てする中で「いつから教え始めるか」のタイミングで迷うのが「お金のはなし」。

日本の学校教育の場合、お金に関することは学問として教えてはもらえないのですが、たし算やひき算ができるようになると、子ども自身が自然にお金を意識するようになります。

お金は、使ったら減る。
おこづかいをもらわないと、増えない。

−ほんとうに?
−べつの方法で増やせるかもしれないのに?

大人ならば、それ以外の方法でお金を増やす方法を知っていますが、子どもたちには想像することすら難しいこと。

平均寿命が延びたけれども、労働寿命が延びていないとされる今、自らの力で稼げるようになることはとても大切です。

でも、どうやって子どもにお金の仕組みを教えていけばいいのだろう?

今回は「お金を”使う”」ではなく「お金との”付き合い方”」を教えてくれる児童書を紹介します!

親子で一緒にお金の勉強をしてみませんか。
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アメリカンキッズの定番「レモネードスタンド」を解説する絵本『レモンをお金にかえる法』



『レモンをお金にかえる法』ルイズ・アームストロング(著) / ビル・バッソ(絵) / 佐和隆光(翻訳)/ 河出書房新社技術評論社

アメリカでは、夏休みなどに子どもたちが自宅の庭などで自家製レモネードを作って販売する、という歴史があります。

「レモネードスタンド」と呼ばれるこの活動は、子どもたちが肌感覚でお金の仕組みを理解する場として、広く取り入れられてきました。

『レモンをお金にかえる法』は、まさにこの「レモネードスタンド」を例に、小学生ぐらいの女の子と男の子、2人の子どもがお店を開いて「原料」「価格」「消費者」「市場価値」などについて学ぶ様子を、ビジネス用語を交えながらもわかりやすく解説しています。

一番はじめの「経済入門書」として、日本でも40年以上愛されてきた人気の絵本です。

衛生管理が厳しい日本で、同じ体験をさせてあげることは難しいのですが、レモネードを作って売らずとも、物に付加価値をつけて売ることで「お金が稼げる」ことを幼いうちに知っておくことは、とても大きな学びになるはずです。

レモネードだけじゃない!「好き」を仕事にしていく子どもを描く『はちうえはぼくにまかせて』



『はちうえはぼくにまかせて』ジーン・ジオン(著) / マーガレット・ブロイ・ブレアム(絵) / もりひさし(翻訳)/ ペンギン社

この絵本がビジネスの絵本だなんて! と驚く方もいるかもしれません。

読み聞かせの人気絵本として紹介されることも多い、『はちうえはぼくにまかせて』の舞台は夏休みです。

旅行に行けないトミーは、バカンスに出かける人に1日2セントで植物を預かることを提案します。

お父さんは猛反対! けれど、トミーはめげません。植物を預かったからには、責任をもって育てます。

レモネードは「だれでも作れる」例でしたが、こちらは「好き」を仕事にしていくお話です。

この絵本を描いたのは『どろんこハリー』の2人。「お金」を意識しない年齢でも物語として楽しめる絵本です。

読み聞かせのあとは訳者あとがきも、ぜひ読んでみてくださいね。

「大切な人を助けたい」から生まれていく資金づくり『ピトゥスの動物園』



『ピトゥスの動物園』サバスティア・スリバス (著)/ スギヤマカナヨ(絵)宇野和美(翻訳) / あすなろ書房

レモネードは「すぐにはじめられる方法、はちうえは「好きを仕事にする方法」でしたが、『ピトゥスの動物園』は「みんなで大きな資金を得る」方法が学べます。

舞台はスペイン・バルセロナ。仲良し6人組のひとり、ピトゥスが重い病に罹るところから物語は始まります。

病気を治すためにはたくさんのお金が必要だと知った友人たちは、「ピトゥスを助けたい!」という思いから資金集めを考えます。

「動物園をつくって入場料で資金を得る」ことを思いついた彼らは、知恵と行動力で大人たちも巻き込んでいきます。

1950年代に出版されたお話ですが、現代のクラウドファンディングにも通じるものがあります。

クラウドファンディングを支援する企業が増え、子どもたちが参加する機会も増えました。「資金集め」とは何かを、この絵本では、とてもわかりやすく紹介しています。

お金持ちになる秘訣は「助けてもらう」こと!『歯みがきつくって億万長者』



『歯みがきつくって億万長者』ジーン・メリル (著) / 平野恵理子 (絵) / 岡本さゆり(翻訳) / 偕成社

「億万長者になれるのかな」「お金持ちのヒントがあるのかな」

…と思って読んでみても、直接的なヒントは何も書かれていませんが、「アイデアを形にしていく」というヒントがたくさん散りばめられているのが『歯みがきつくって億万長者』です。

少年、ルーファスの何気ない「アイデア」が、大きなビジネスに発展するサクセスストーリーが描かれています。

彼のアイデアは「歯みがき粉が高い」→「もっと安くて楽しいものをつくろう!」というもの。

ビジネスでいう「開発」にあたることを、趣味で行うルーファス。これを「販売」するところからはじまり、「宣伝」「仕入れ」「株式発券」「資産運用」「融資」…と軽快に話が進んでいきます。

物語はルーファスのクラスメイトの視点で語られるのですが、このルーファスがとても魅力的で、彼の周りにはいつも人が集まっているのです。

彼を慕う人がいて、ルーファスもまた、皆にも楽しんでもらえる工夫をしていきます。

「楽しいこと」を追求するルーファスは莫大な財産を得てもしらんぷり。その潔さからも学ぶことはたくさんあります。

高学年向けですが、時期がきたら読んでもらう、あるいは親が経済についてわかりやすく説明するときにも役立つ児童書です。



「子どもが自分でお金を稼ぐ」ことを扱っている児童向け実用書がたくさんある中で、今回は「絵本」や「物語」として伝えているものを紹介しました。

自分の「好きなこと」「得意なこと」で稼いでいる子どもたちは、自信に満ちていてかっこいいですね。

数年前に読書感想文の課題図書として取り上げられた『子ぶたのトリュフ』(さ・え・ら書房)も、獣医になりたい女の子が友人からペットを預かり、お金を受け取る描写があります。

「お金」はどういうときに必要とされるのか。どういうときに役立つのか。「お金」が重要なキーワードとして登場する物語は、「お金」を扱う人々の気持ちも同時に紹介しているので、お金の勉強をするときは、実用書と一緒に物語も併せて楽しんでみてくださいね!

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執筆者プロフィール
絵ノ本桃子


区立図書館勤務後、育児をきっかけにシェア本屋「せんぱくBookbase」を開店。和室のある本屋として町で暮らす家族にとって読書の楽しみを提案している。本屋運営の傍ら、学校図書館勤務を経て、現在は在宅学習支援をサポートしている。3児の母。

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