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いつかは身についてほしい!
料理を楽しむヒントが散りばめられた食育本4選




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台所は、子どもたちにとって空腹を満たしてくれる信頼できる場所です。

台所でお料理を作るお母さんの姿を見て、

「なにを作っているんだろう?」
「お母さんの隣でお手伝いしたいな」
「味見、一番乗りしたいな」

と台所にいるお母さんについてまわるお子さんもいるかもしれませんね。

そんなときは、思い切ってお手伝いしてもらってはいかがでしょうか。

お手伝いとはいっても、お米を研いだり、キャベツをちぎることは気軽にお願いできても、お肉を炒めたり、野菜を切らせるのには安全面を考えて、何歳ぐらいでスタートさせていいのか悩みますよね。

まだ早いような気もするけれど、子どもが興味をもち始めたタイミングでやらせてあげたい。

そう思って踏み切ってみたものの、火や刃物を扱うだけに、親としても慎重になってしまいます。

今回は「実際に子どもに料理を任せている」本を中心に選びました。ご家庭でのヒントに、ぜひお役立てくださいね。
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11歳でフランスに料理修行!? あとがきには、お母さんからの力強いメッセージ。



『料理大好き小学生がフランスの台所で教わったこと』ケイタ(著) / 自然食通信社

1歳の頃から包丁を手に持ち、味噌汁を作っていたというケイタさん。

農業を営んでいた彼の家には、日本の農業や食を学びたいという料理人たちが、世界中からたくさん集まってきました。

10歳のときに腸閉塞を患い、食事も喉を通らない経験をしたケイタさんは、病床で本場のフランス料理を学びたい、と決意します。

本書は、その夢を自身の貯金とクラウドファンディングで叶えて、フランスでの料理修行を綴ったフォトエッセイです。

1歳から包丁を扱えたことも、フランスへの料理修行も彼に特別な才能が備わっていたからできたことではありません。

「興味があるなら、触れさせてみよう」

という両親やホームステイに来た人たちの見守りによって、彼は背中を押されてきたからこそできたことなのです。

見守る大人がいるだけで、子どもは自ら学び、成長していくことができる、ということを、この本から学べます。

学校が児童の「食育」をバックアップ! 学校と家庭がつながる「弁当の日」



『100年未来の家族へ ぼくらがつくる"弁当の日"5.7.5』竹下和男(著・写真)/ 宝肖 和美 (写真) / 自然食通信社

香川県綾川町の小学校で20年前からつづく「弁当の日」。

この小学校では、5年生になったら男の子も女の子も「買い出し」から「弁当詰め」そして「片付け」までひとりで行うことを学校行事に組み込んでいます。

お弁当をつくる日は、子どもたちも保護者も、ハラハラ、ドキドキ。

本書はそのときに作ったお弁当や子どもたちの表情を、五七五の川柳にして紹介しています。

「失敗作 いいえ あなたのデビュー作」「目覚ましより 先に起きてる ”弁当の日”」

川柳の中には、失敗したことを嘆くものも。でも、失敗しても、挑戦すると勇気がでる、たくさんの人と喜び合える、ということを、「弁当の日」を通して体験できたことがわかります。

ほかにも、スーパーでたたずむ子、父や祖母という言葉が出てくる川柳などもあり、お弁当作りを介した家族との温かい交流や、子どもたちの「成長」の軌跡が随所に見られます。

まさに、我が子を見守ることで得られる、親の驚きや喜びまで伝わってくる内容となっています。

子どもと作る本格和食がいっぱい!『「ひより食堂」へようこそ』



『「ひより食堂」へようこそ 小学校にあがるまでに身に付けたいお料理の基本』 谷口 忍 (著)/ふるかわ りさ (著, 監修)、谷口 忍 (著)、 高橋 ひろみ (編集) / そらのまち出版

見守ることはわかった! でも、何を作ればいい? どこまで作ることができるんだろう?

と悩むお母さんへは、この『「ひより食堂」へようこそ』がおすすめです。

鹿児島県にある「ひより保育園」では食育として園児に料理の下ごしらえや調理を任せます。

卒業遠足で年少年中の子と水族館へ行くための費用を得るために、食堂を開いて一般のお客様をもてなしたこともあるそうです。

お料理をすることで偏食の子が減るなど、子どもの可能性をぐんぐん広げるひより保育園の食育活動。

自分から料理に取り組み、好みの味つけを知っていく、ということは大事なプロセスなのかもしれません。

本書では、小学校にあがる前の子どもでも取り組みやすいように、見開き1ページでわかりやすく解説しています。

園で実施している食育の目安についても紹介しているので計画的に取り組みたい人にはぴったりです。

大根の多彩な活躍を紹介する『大根はエライ!』の作者は大人に人気のグルメ漫画家



『大根はエライ!』久住昌行(著) / 福音館書店

最後に紹介するのは、食材を楽しむ絵本『大根はエライ』です。

大根って、たくあんとして食卓に出たり、切干大根として細いきつね色になっていたり…。

真っ白な大根とは似ても似つかない姿で登場することが多いので、もしかすると子どもたちは、大根と知らずに食べているかもしれません。

絵本では、大根がいかにマルチな役者であるかということを、これでもか!と紹介しています。

どこかコミカルでたのしい内容になっているのは、この絵本を描いたのが久住昌行さんだからなのかもしれません。

久住昌行さんといえば『孤独のグルメ』で知られている人気作家さん。食に関する作品を手掛けている方が描く絵本といえば、信頼できますよね。

絵本では、大根の料理法だけではなく、大根に含まれる栄養素や効果についても詳しくわかりやすく書いているので、食育絵本の読み聞かせとしてもおすすめです。親子で大根の効能について学べますよ。



今回は、農家、小学校、保育園で実践している食育について紹介しました。

大人たちに見守られている、という安心感だけで、子どもたちは大きく成長していくことが、絵本を通してわかります。

家庭で料理に取り組むときは、『大根はエライ』から読み聞かせをして、野菜に親しんでみてはいかがでしょう。

大根に興味を持ち始めたら『「ひより食堂」へようこそ』で、料理の作ることの楽しさを知ることができます。

少しずつ慣れてきたらお弁当を作ったり、ほかの国の料理を調べてみる……とステップアップしていくのもいいですね。

ある程度料理ができるようになったら、今度は家事分担を任せてみてはいかがでしょう。子どもがお手伝いを通して、家の中のことを俯瞰して見ることもできるようになるかもしれません。

お金同様、料理も学校ではなかなか教わる機会がない「生きる力」として必要な学びです。

家で過ごす時間が増えて、料理に挑戦したくなったら、この4冊を思い出してみてくださいね。

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執筆者プロフィール
絵ノ本桃子


区立図書館勤務後、育児をきっかけにシェア本屋「せんぱくBookbase」を開店。和室のある本屋として町で暮らす家族にとって読書の楽しみを提案している。本屋運営の傍ら、学校図書館勤務を経て、現在は在宅学習支援をサポートしている。3児の母。

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