【絵ノ本桃子】サンタクロースは本当にいるの? クリスマスの夢にあふれる絵本5冊!
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12月は、クリスマスに冬休みと、子どもたちにとって嬉しいイベントが続きます。
学校でも、給食にクリスマスメニューが出たり、クリスマスの本が紹介されたりと、季節の行事として楽しまれていました。
クリスマスが、世界各地で特別な日とされていることは、多くの絵本や歌からもわかります。
「あわてんぼうのサンタクロース」や「さむがりやのサンタ」など、絵本や歌の数だけ、サンタクロースの描き方がたくさんありますよね。
きっと子どもたちも、それぞれがもつサンタクロースのイメージがあると想うので、今回はあえて、サンタクロースが主役ではないクリスマスの絵本を選びました。
「クリスマスを知る絵本」2冊と併せて、お楽しみください。
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クリスマスってなに?サンタクロースっているの?子どもたちの疑問に答えてくれる絵本

『クリスマス』バーバラ・クーニー(著)安藤 紀子(訳)/ ロクリン社、『サンタクロースっているんでしょうか』ニューヨーク・サン新聞「社説」(著)中村妙子(訳)東逸子(絵)/ 偕成社
クリスマスの過ごし方は国によって違います。
バーバラ・クーニーの『クリスマス』は、アメリカなどで祝われるクリスマスの過ごし方を、キリストの生誕から現代までを辿っていく絵本です。
背景を白と黒でシンプルに描き、白・緑・赤の3色を際立たせる構成で、クリスマスの夜に訪れる静謐な世界を表しています。
『サンタクロースっているんでしょうか』は、サンタの存在を否定する友だちをみて、8歳の女の子が新聞社に手紙を出し、1897年にその答えをサン新聞が社説として掲載したものを絵本にしたものです。
「サンタさんはいる!」「いや、いない!」という論争は、なんと120年以上も続いているのですね。
結論からいえば、新聞社は「サンタクロースはいる」と答えています。
ただ、たとえば煙突から入ってくるとか、大きな靴下にプレゼントを入れてくれるとか、そんなわかりやすい形で現れるとは限りません。
その答えの中には、大人が普段から子どもに接する上で大事にしたいヒントが散りばめられていました。
子どもがサンタの存在に懐疑的になってきたら。この社説に頼ってみてはいかがでしょうか。
夢をかなえるため行動に出るモミの木。夢を叶えた場所は、どこ?『わたしクリスマスツリー』

『わたしクリスマスツリー』佐野洋子(著)/ 講談社
『100万回生きたねこ』の作者、佐野洋子さんが贈る、クリスマスの物語です。
佐野洋子さんの絵本の「余韻」が好きな人はぜひ、親子で読んでもらえたらと思います。
雑木林の中で生まれたモミの木は、きれいな町でクリスマスツリーになることを夢見ています。
身ぎれいにするため、小鳥たちが巣をつくろうとしても、つる草が巻きつこうとしても断ります。
りんごの収穫や麦の収穫が始まると、次々と列車に乗せられて町へと運ばれていきます。
町で美しいクリスマスツリーになるのを夢見ていたモミの木は、今か今かと待ち焦がれていましたが、ついに仲間のモミの木が列車で運ばれていったのをかけすから聞き、焦りを感じて自らの根っこを抜いて列車を追いかけます。
行動力たくましいモミの木。
彼女がたどり着くのはきれいな町か、それとも…。
夢を求めて追いかける時期が、いつか子どもにもやってくる。
夢を叶える場所について、ひとつの答えを示してくれる絵本です。
そうだ、サンタクロースに会いに行こう!女の子の旅を写真でたどる『サンタクロースのおてつだい』

『サンタクロースのおてつだい』ロリ・エベルト(作)ペール・ブライハーゲン(写真)なかがわ ちひろ(訳)/ポプラ社
とてもさむい北の国で暮らすオンヤは、サンタクロースのおてつだいをしよう!と、ひとりでサンタクロースに会いに行きます。
道中、シロクマなどの動物に出会い、助けられながらサンタクロースのもとへ向かいます。
全編写真でつづられているので、まるで一緒に冒険をしているような、現実と物語の境界線の「あわい(間)」へと誘う魅力が、この写真絵本にはあります。
オンヤは、サンタクロースに会えるのでしょうか。
いや、そもそもオンヤはひとりで冒険をして大丈夫だったのでしょうか?
子どもたちは、そんな不安を抱くかもしれません。
ここで、ちょっとだけ種明かしです。
実は、写真を撮ったのはオンヤのお父さん。お話はお母さんが作りました。
オンヤは、親に見守られながら冒険をしていたのですね。
「勇気のある子だね」と話してもよし。
「お父さんとお母さんが見守っていたんだよ」と伝えてもよし。
読んだ後に、家族で感想を語り合いたくなる絵本です。
25日までの日々を楽しむ『ピーターラビットのクリスマス 25の物語のアドベント』

『ピーターラビットのクリスマス 25の物語のアドベント』レイチェル・ボーデン(著)長友 恵子(訳)/ 偕成社
最後に紹介するのは、本を読むのが苦手な子も、本が好きな子も楽しめる絵本で、学校図書館でも人気だった、ピーターラビットのアドベント絵本です。
「アドベント」とはクリスマスまでの25日間の期間を指します。
ドイツ生まれのお菓子、シュトーレンも、アドベントを楽しむためのお菓子なんですよ。
『ピーターラビットのクリスマス 25の物語のアドベント』には、25の物語が収録されています。
工作では、アドベントカレンダーやオーナメント、ミンスパイの作り方などを掲載しています。
ミンスパイは、イギリスで親しまれているクリスマススイーツ。
ピーターラビットの暮らすイギリスの文化も、知ることができる絵本です。
クリスマスまでの一日一日を、この絵本で読み聞かせしながら待ってみるのもいいですね。

イギリス、アメリカ、北極圏、そして日本。
それぞれの国で過ごすクリスマスの物語を紹介しました。
国や地域によって、クリスマスの過ごし方や描き方は少し違う。
それぞれの国の過ごし方を、まるで自分も過ごしているかのように感じながら知ることができるのも、物語の魅力です。
違いはあっても、楽しい気持ちは同じですね。
クリスマス絵本はどれも幸せに満ちているので選ぶのも楽しくなります。
みなさんにも、絵本のように素敵なクリスマスが訪れますように。
メリークリスマス!
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<執筆者プロフィール>

絵ノ本桃子
区立図書館勤務後、育児をきっかけにシェア本屋「せんぱくBookbase」を開店。和室のある本屋として町で暮らす家族にとって読書の楽しみを提案している。本屋運営の傍ら、学校図書館勤務を経て、現在は不登校の子たちの学習をサポートしている。3児の母。
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