【絵ノ本桃子】自分らしさを大切にして自己肯定感アップ!「好き」を貫く主人公が登場する絵本4冊。

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2022.04.12

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【絵ノ本桃子】自分らしさを大切にして自己肯定感アップ!「好き」を貫く主人公が登場する絵本4冊。

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【絵ノ本桃子】自分らしさを大切にして自己肯定感アップ!「好き」を貫く主人公が登場する絵本4冊。

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春。入学式を終え、桜が散り終えた頃、新学期が始まります。
新しい教室に、新しい担任の先生、そしてクラスメイトたち。
 
学年が変わって新しい環境になったことで、少しでも早く場に馴染めるようにと、子どもながらに頑張っている時期だと思います。
 
ただ、なかには担任の先生やクラスメイトに「合わせよう」としすぎて疲れてしまう子や、逆に周囲のペースに合わせられなくて、辛い思いをする子もいます。
 
今回は、そんな集団生活で頑張る子たちへの応援の気持ちを込めて、自分の「好き」を大切にしている人が主人公が登場する絵本を集めてみました。 
 
子どもが悩んでいるかも……と思ったら、読み聞かせしてあげてみてくださいね。
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自分を大切にすることを伝えてくれる『わたしとなかよし』

『わたしとなかよし』 ナンシー・カールソン(著・絵)/ なかがわちひろ(訳)/ 瑞雲舎
 
学校図書館は、本の貸し借りや問合せを受け付ける場ですが、カウンターにはときどき、小さな心の澱みを吐き出すように、ぽろっと悩みを落としていく子どもたちがいます。
 
「自分のこと、好きじゃない」と話してくれる子も。
 
その理由は、たいていは「担任を怒らせちゃった」とか、「友だちと気まずくなった」という理由が多い印象でした。
 
そうした対人関係に関わる悩みを抱えて話してくれるのは、中学年以上の子どもたちがほとんどでした。
 
こうした対人関係のトラブルが増える前の低学年のうちに、少しでも自己肯定感を高められるような絵本を、家庭や学校図書館で手に取っていただけたらと思っています。
 
『わたしとなかよし』は、ブタの女の子が主人公。
 
「わたしにはすてきなともだちがいるの。それはね…わ、た、し!」という文章から始まる絵本は、「わたし」というともだちを大切にするためのヒントがたくさん書かれています。
 
失敗したら、へっちゃら、となぐさめる。ひとりでいても「わたし」といる。
 
一見、孤独に見えそうですが絵本にはちゃんと、見守る大人の姿も描かれています。主人公の女の子が、ここまで強く自分を愛せるのには、理由があります。
 
それを知ることができるのが、『ハグしてぎゅっ!』という絵本です。この絵本には、親が子どもの自己肯定感を高めていくためのヒントがたくさん詰まっているので、2冊合わせて読んでみてください!
 
自分の「好き」をとことん突き詰めた少年の物語『ウェズレーの国』

『ウェズレーの国』/ ポール・フライシュマン(著)/ケビン・ホークス(絵)千葉茂樹(訳)/ あすなろ書房
 
周囲と馴染めずに、ひとりで黙々と取り組んでいる子は学校でも浮いてしまい、一見孤独に思われがちです。
 
元勤務していた学校で、毎回きのこの本を借りていく子がいました。マンガ部に所属している彼は、ただひたすらきのこの絵を描いていて「きのこ野郎」と呼ばれていることも、耳に入っていました。
 
クラスで浮いてしまっているのかな……と少し心配していたとき、「あいつ、きのこの絵めちゃめちゃうまいんだよなぁ」と話している声が、聞こえてきました。
 
一緒に遊ぶような関係の友だちではなくても、その子の絵を認めてくれる人がたしかにいたのです。
 
『ウェズレーの国』も、ピザもコーラもきらい、サッカーもきらいで「みんな」と馴染めない、ウェズレーが主人公です。
 
「あの子ったらかわいそう。いつもひとりだけ、はみだしてるわ」ウェズレーの様子を見て心配するお母さんですが、
 
「いまにきっとやくだつさ」とお父さんは見守ります。
 
やがてウェズレーは壮大な自由研究を思いつきます。その自由研究は、町の人も巻き込む、未知の研究でした。 
 
このお話はフィクションなので、ここまで壮大なことは起こらないかもしれません。けれども、好きなこと・必要と感じることにひたむきに真っ直ぐに取り組む子は、いずれ周囲からも必要とされる、という部分は決してフィクションではありません。
 
現在も読書感想文のおすすめとして紹介される、学校図書館でも定番となる人気の絵本です。
 
嫉妬にも同調圧力にも負けないめうし『めうしのジャスミン』

『めうしのジャスミン』ジョナ・ウィンターロジャー・デュボアザン(著・絵)/ いぬいゆみこ(訳)/ 童話館出版
 
学校は、華美なおしゃれは禁止とされていますが、もちろんおしゃれが好きな子どもはたくさんいます。
 
学校図書館に来て、お姫様の本を借りてドレスを描く子、さりげないアイテムを身に着けておしゃれを楽しむ子。なかには「あの髪型へんだよ」とほかの子の髪型を変な髪形だとうわさする子もいます。  
 
『めうしのジャスミン』もあるとき、自分に似合う帽子を見つけて身に着けますが、仲間の動物たちから猛批判を受けてしまいます。 
 
「なかまとちがうことをしたがる、めうしなんて、あたしすきじゃないわ」
 
「うぬぼれてるんだわ」
 
と口々に言う動物たちは、ジャスミンのことが気になって仕方ありません。 
 
けれど犬のノイジーに「いろんな帽子がまだ納屋にのこっている」と聞かされた動物たち。
 
彼らは、ある行動に出るのですが、それを見たジャスミンはまたひとつ、行動を取ることを決意します。
 
みんなと同じでいたい動物たちと、好きなこと・似合うことにひたむきなジャスミン。
 
「髪型が変だ」と言っていた子たちも、気づけば同じ髪型をしていることがあり、それを見るとこの絵本を思い出すのです。
 
この絵本は『ジャスミン』というタイトルでも刊行されたことがあるので、こちらのタイトルでもぜひ探してみてくださいね。
 
ポケットに好奇心を温め続けたノンフィクション絵本『あたまにつまった石ころが』

『あたまにつまった石ころが』 キャロル・オーティス・ハースト(著)/ジェイムズ・スティーブンソン(絵)/ 千葉茂樹(訳)/ 光村教育図書
 
学校図書館には、自分の好きなものをとことん追求する子がやって来ます。
 
本を選ぶとき、だいたいは先生の意向や学年全体で必要なもの、人気の本を選ぶのですが、ときどき、「この子のため」に選ぶ本も存在します。 
 
たとえば、きのこの本とか。
 
『あたまにつまった石ころが』も、石好きの子がいたら手渡したいと思う絵本です。このお話はノンフィクション。作者の父親のお話です。
 
子どもの頃から石を集めるのが好きだった父親は、ガソリンスタンドを立ち上げたときも、古びた家を買ったときも、必ず石を並べる棚を作りました。
 
「あいつのあたまには石ころがつまってるのさ」とお客さんに言われます。
 
「石ころじゃあ金にならんぞ」と言われても、
 
「そうかもね」と返します。
 
世界大恐慌に見舞われガソリンスタンドを閉じたあとも、決して石を手放すことはなく、古びた家の修理の合間に、一服がわりに石を眺めに行きます。
 
日雇い仕事がない日は、石を並べている博物館に出向き、石を眺めていました。
 
あるとき館長に声をかけられ、コレクションを見せることに。館長は、ある提案を父親に向けるのでした。
 
父親の石好きは、町では珍しいと思われていた描写がありますが、「ネバダやコネチカットに石好きの友人がいる」と話していることもあります。
 
「好き」が集まる場所に行けば、町や身近な場所に理解者がいなくても、決して孤独だったわけではないことも描かれています。
 
あとがきには、父親のその後に触れていて、夢がまだ続いていたことが記されています。


今回紹介した絵本は、いずれも15年以上前に出た絵本です。学校図書館の定番絵本でもあるので、お子さんが興味を示したら学校で探してみるよう、提案してみてくださいね。
 
学校では集団行動が要となることが多くあり、先生も一人ひとりの個性を知ってはいるものの、なかなか全員に手を差し伸べてあげることはできません。
 
でも、こうした本が学校図書館にあることで、子どもたち自ら気づくことができ、先生も読み聞かせを通して授業の中だけでは伝えきれなかったことを知ってもらう機会をつくることができます。
 
絵本は子どもの心を育ててくれるので、寝る前や家事の合間に、ぜひご家庭でもたくさん読み聞かせをしてあげてくださいね。

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<執筆者プロフィール>

絵ノ本桃子

区立図書館勤務後、育児をきっかけにシェア本屋「せんぱくBookbase」を開店。和室のある本屋として町で暮らす家族にとって読書の楽しみを提案している。本屋運営の傍ら、学校図書館勤務を経て、現在は不登校の子たちの学習をサポートしている。3児の母。

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