【絵ノ本桃子】家族・友人の「死」とどう向き合う?事前に備えておきたい、親子で向き合う「見送ること」をテーマにした絵本4冊。

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2022.08.19

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【絵ノ本桃子】家族・友人の「死」とどう向き合う?事前に備えておきたい、親子で向き合う「見送ること」をテーマにした絵本4冊。

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【絵ノ本桃子】家族・友人の「死」とどう向き合う?事前に備えておきたい、親子で向き合う「見送ること」をテーマにした絵本4冊。

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子どもたちにとっては楽しい夏休み。

長いお休みを利用して、おじいちゃんやおばあちゃんに会いに行く子どもたちも多いのではないでしょうか。

8月は、ご先祖を迎える「お盆」があります。今回のテーマは、お盆にちなんで「死」と向き合う絵本を選びました。

おじいちゃん、おばあちゃん、そして、ペット、お友だち…。身近な誰かの突然の「別れ」に直面した時、子どもが抱える悲しみに親はどう寄り添えばいいのか。

親自身も気持ちの整理がつかない時、どう受け止めればいいのか。
こうした「死」との向き合い方への道しるべとなる絵本4冊です。

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いつか わすれてしまうじかんをたいせつにすごす『いつか あなたを わすれても』

▲『いつか あなたを わすれても』 桜木紫乃(著)/ オザワミカ(絵)/ 集英社

ママのことを忘れてしまう「サトちゃん」は、”わたし”のおばあちゃん。

それを、悲しくない、というママ。サトちゃんは男の子がほしかったから、ママのこと忘れたのかな、というママ。

ママのサトちゃんへの気持ちを聞いて、“わたし”は聞きます。

「ママは わたしがおんなのこだったことどうおもう? おとこのこのほうがよかったって おもわなかった?」

「パパは わたしが生まれたとき よろこんでくれたかな」

"わたし"からの問いにママが答えます。

「あのね わたしは あなたが生まれてくれただけで よろこんでくれるひとを すきになったの」

「あんしんして おんなのひとに なりなさい」

おばあちゃんのサトちゃんが、すこしずつ忘れていく様子を軸に、孫である”わたし”の視点から「見送ること」を見つめた絵本です。

「これは たいせつな たいせつな わたしたちの じゅんばん」

認知症も死も、いずれはわたしたちにも訪れるのだ、ということをそっと示してくれます。

おじいちゃんとの合言葉はしあわせのおまじない『おじいちゃんのごくらくごくらく』

▲『おじいちゃんのごくらくごくらく』/ 西本鶏介(著)/ 長谷川義史(絵)/ すずき出版

おじいちゃん子、おばあちゃん子だった人にとって、祖父母と過ごした思い出というのは、大人になってからも元気をくれるもの。

『おじいちゃんのごくらくごくらく』には、おじいちゃん子の孫の”ぼく”が、登場します。親が共働きで、いつもそばにはおじいちゃんがいてくれてうれしい"ぼく"。

お風呂に入る時も寝る時も、いつも一緒。お風呂で、おじいちゃんはいつも「ごくらく ごくらく」と唱えます。

そんな、お風呂が大好きなおじいちゃんと温泉に行くことを計画しますが、おじいちゃんは入院することになってしまいます。

そのまま、ほとけさまのくにへ行ってしまったおじいちゃんですが、おじいちゃんはすてきなおまじないを残してくれました。

一緒に過ごした時間が長ければ長いほど、何気ないおじいちゃんとの会話が、その子のこれからを支える言葉になることがある。

おじいちゃんとの大切な思い出を持っている人に、手に取ってほしい絵本です。

ペットが死んだあとの世界を楽しく語る『チャーちゃん』

▲『チャーちゃん』保坂和志(著)/ 小沢さかえ(絵)/ 福音館書店

背景が黒で、どことなくぼやけている輪郭の猫。名前は「チャーちゃん」。

絵本を開くと、冒頭から「はっきり言って、いま死んでます」と書いてあって、びっくりします。

けれど、なんだかチャーちゃんはとても楽しそうなのです。

「死ぬと踊るの違い? よくわかんないな、ぼくは」
「死んでも生きても、ぼくはぼくだからね」

死後の世界を軽やかに生きるチャーちゃん。
ペットの死は、祖父母との死とは異なり、死へ向かっていく様子、苦しむ様子、死の瞬間まで立ち会う可能性があります。

変わり果てた姿に戸惑い、悔い、悲しみがなかなか癒えない人も多く、そこに年齢の違いはありません。

あの子は、つらくなかっただろうか。
もっと、なにかできたんじゃないか。

失ったあとの悲しみから立ち上がれない時は、「チャーちゃん」の軽やかさに触れてみてください。

大切なペットとの別れを経験した人にとって、お守りの一冊となる絵本です。

ホスピスと作家が共同制作した見送る人、見送られる人を描く『むらさきふうせん』

『むらさきふうせん』クリス・ラシュカ(著・絵)/ 谷川俊太郎(訳)/ BL出版

最後に紹介するのは、見送る人・見送られる人のまなざしを描く『むらさきふうせん』です。

「子どもたちのための国際ホスピス」も制作に携わっているこの絵本では、特に子どもの「死」を扱っています。

自分の命が終わろうとしている時、目の前に迫っている「死」に誰も向き合ってくれなければ、孤独のまま送り出してしまうことになってしまいます。

「死ぬとき かぞくがいると いい」
「ともだちがいると いい」
「きもちを らくにしてくれる」

子どもの場合、友だち、セラピスト、学校の先生、お医者さん…。多くの人の助けが必要だと、絵本では伝えています。風船のように魂が空へ飛んで行っても、見えない糸でつながっている。

「みんなで ちからをあわせると 死ぬのが すこしらくになる」
「わかれも すこし つらくなくなる」
のだ、と。

友だちの「死」について考える時が来たら、一緒に読んでみてほしい絵本です。

「死」というテーマは、子どもたちが最も興味を持つジャンルのひとつです。

学校図書館では、「おばけ」や「怪談」など「あちら側」を扱った児童書が大人気。リアルな「死」ではないものの、みな「死後の世界」は気になるようです。

学校では「死」について学ばないのかというと、一部の学校ではベストセラーの『わすれられないおくりもの』(スーザン・バーレイ著 / 小川仁央訳 / 評論社)を3年生の国語で習いますし、4年生で習う『ごんぎつね』にも、物語の前半と後半に「死」がキーとなって登場します。

今回紹介した絵本も、中学年になってから読んでみるのもいいかもしれません。

あるいは、親しい知人や友人、ペットを亡くした時、その空虚感をなかなか言葉にできないこともあるので、お子さんの様子を見ながら、一緒に読んでみるのもいいですね。


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<執筆者プロフィール>

絵ノ本桃子

区立図書館勤務後、育児をきっかけにシェア本屋「せんぱくBookbase」を開店。和室のある本屋として町で暮らす家族にとって読書の楽しみを提案している。本屋運営の傍ら、学校図書館勤務を経て、現在は不登校の子たちの学習をサポートしている。3児の母。

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